こんにちは、猿田彦ジョージです。最近、「メタバース」という言葉を、あちこちでやたらと目にしますよね。ゲーム業界だったり、映画の世界感だったり、ビジネスの世界だったり、いろいろな領域で使われています。何となく、「仮想空間的なやつ?」「マトリックスの世界?」みたいな、漠然としたイメージでしかとらえられていなかったので、メタバースについて調べてみました。娘に頼み込んで、「マイクラ」にも挑戦しましたよ。
◆俺的メタバースの歴史
1992年 | 小説『スノウ・クラッシュ(Snow Crash)』発表。「メタバース」という言葉を使う。 |
1999年 | 映画『マトリックス』が公開。仮想空間を舞台にした物語。 |
2006年 | ゲーム『ROBLOX(ロブロックス)』がサービス開始。低年齢の子どもに人気。 |
2007年 | 仮想世界『Second Life(セカンドライフ)』が日本でサービス開始。米国は2003年に登場し2006年半ば盛りあがる。 |
2009年 | 映画『アバター』が公開。ストーリーも仮想世界を舞台にしているが、映画も3D映像で公開された。 |
2011年 | ゲーム『Minecraft(マインクラフト)』が販売開始。老若男女根強い人気を博す。 |
2016年 | ゲーム『ポケモン GO』がサービス開始。スマホを通して、現実世界にポケモンが表れる拡張現実で大ヒット。 |
2017年 | ゲーム『Fortnite(フォートナイト)』がサービス開始。世界中で利用者数拡大。 |
2021年7月 | 映画『竜とそばかすの姫』公開。メタバースをテーマにした近未来の設定。 |
2021年10月 | SNS『Facebook』が『Meta』へ社名を変更し、メタバースに参入。 |
2021年11月 | マイクロソフト社が『Mesh for Microsoft Teams』を発表(ビジネス系メタバース)。 |
【その1】「メタバース」って何だろう!?
現在、「メタバース」という言葉は、主にコンピュータの中に構築された3次元の仮想空間のサービスについて使われています。
もともと、「メタバース」という言葉は、「超(メタ)」と「宇宙(ユニバース)」を組み合わせた造語です。小説『スノウ・クラッシュ』(ニール・スティーヴンスン作)に登場するテクノロジーの進化によって登場した仮想空間サービスの呼び名として使用されたのが始まりでした。
最近、「メタバース」と呼ばれる領域が広がっていて、どこからどこまでが「メタバース」なのか、その垣根が正直よくわかりません。
まず、メタバースとは何かについて、定義づけておきたいと思います。メタバース領域への投資をするベンチャーキャピタルのパートナーであるマシュー・ボール氏という人が、“メタバースであることの条件”として次の7項目を挙げています。
①(仮想空間が)永続的に存在する
②リアルタイム性
③同時参加人数に制限がない
④経済性がある
⑤体験に垣根がない
⑥相互運用性
⑦幅広い企業・個人による貢献
人によって、「メタバース」の使い方がバラバラな状況ですが、今回は、ひとまずはこの定義をもとに考えていきます。
【その2】パイオニアである『Second Life(セカンドライフ)』
俺自身の体験からすると、「メタバース」と聞いて、すぐに頭に思い描いたのは、2007年頃に日本でもサービス提供を開始して、一世を風靡した『Second Life(セカンドライフ)』です。
仮想空間で、自分の分身であるアバターを操作して、他の人とコミュニケーションが取れたり、買い物出来たりするというものです。インターネットの世界に、もうひとつの生活空間が生まれるという考え方は、当時画期的でした。俺は、ちょっとかじった程度で、ネット環境が悪くてすぐ辞めちゃいましたが。
このような仮想空間は、VRゴーグル型ヘッドマウントディスプレイをつけて、現実世界のように体感してもらうのが理想的です。しかし、現在はまだそれほど普及していないため、多くの人はPCのモニター画面で仮想空間を利用しているようです。
この世界での目的は特になく、いろいろなワールドを歩いたり、人と話したりして過ごします。『Second Life(セカンドライフ)』は、まさに上の定義にぴったりと当てはまる、典型的な「メタバース」空間だと思います。
【その3】ゲームの世界の「メタバース」とは?
今、最も熱い「メタバース」領域、それはゲームの世界です。ただ、たくさんあるゲームの中で、どこからどこまでが「メタバース」になるのか、正直わかりにくいのが現状です。
たとえば最近のRPGゲームは、MMORPGと呼ばれます。以下の言葉の頭文字をとったものです。
Massively Multiplayer Online Role-Playing Game
(マッシブリー・マルチプレイヤー・オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)
その意味は、「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」で、さきほどの「メタバース」の定義の①②③あたりの条件をクリアしています。
しかし、MMORPGである『ドラゴンクエスト』などが、「メタバース」であると言われることはあまりありません。「メタバース」としてよく取り沙汰されるゲーム、たとえば『Minecraft(マインクラフト)』との違いは何なのでしょうか?
【その4】『Minecraft(マインクラフト)』を実際にプレーしてみた
うちの娘の端末でプレーして、体感してきましたよ。
『Minecraft(マインクラフト)』の場合、どこまでも続く永続的な空間があって、その中で家を作ったり、作物を育てたり、冒険をしたり、さまざまな体験をすることができます。特殊なアイテムで空も飛ぶこともできました。
友達を自分の家に招待するような感覚で、自分が作った空間に招いて一緒に遊んだり、自分の分身のキャラクターのスキンを作ってゲーム内で使ったりすることも可能みたいですね(最大8人プレー)。
先ほどの「メタバース」の定義に該当する項目が多くありますが、すべてが当てはまるわけではありません。それにもかかわらず、『Minecraft(マインクラフト)』は、ゲーム業界における「メタバース」の代表格のひとつとされています。
『Minecraft(マインクラフト)』は、ストーリーがなく、圧倒的な自由度の高い世界が広がっています。
鉱山で資源を発掘したり、トロッコを使ってジェットコースターを作ったり、自動ドアのあるコンビニを再現したり、城などの壮大な建築物を作ったり、製作者サイドが予測していないようなことまでユーザーが発見し、遊び方を創作できるのです。それらがYouTubeなどで公開されて、さらに広がりを見せていきます。
一方、『ドラゴンクエスト』は、製作者が意図したストーリーや仕組みの中で、ゲームを楽しむもの。ある程度の選択や自由な行動もできますが、それはあくまで製作者が意図した範囲の「ゲーム」的なものなのです。そこが決定的な違いです。
《さいごに》
圧倒的な自由性の中で、ユーザーが作り上げる体験こそが、「メタバース」としては特に大切な要素のひとつと言えそうです。さて次回は、AR(拡張現実)の技術を使った『ポケモン GO』や、何かとメタバース界隈で注目される『Fortnite(フォートナイト)』についても取り上げながら、今後の「メタバース」が目指すところはどこなのか、について探っていきます。