今回は、「メタバース」の後編です。「メタバース」と言うと仮想空間(VR)が良く知られていますが、もうひとつ忘れてはいけない、拡張現実(AR)という技術があります。ここでは拡張現実(AR)を使うゲーム『ポケモン GO』を取り上げます。さらに、「メタバース」の世界観を描く映画をヒントに、その未来を探ります。
【その1】仮想空間(VR)と拡張現実(AR)のちがいを知ろう!
前々回、「メタバース」は、主にコンピュータの中に構築された3次元の「仮想空間」のサービスについて使われている言葉、と紹介しました。仮想空間は、英語にするとバーチャルリアリティー(Virtual Reality)で、その頭文字からVRと呼ばれたりもします。
実はそれ以外にも、「メタバース」の領域として、注目されるものに「拡張現実」があります。英語だと、オーグメンテッド・リアリティ(Augmented Reality)で、その頭文字からARと呼ばれたりもします。
仮想空間(VR)と拡張現実(AR)の違いとは何でしょうか?
仮想空間(VR)は、VRゴーグルなどをつけて、コンピュータの中に構築された3次元の空間を楽しむイメージですね。
拡張現実(AR)は、スマホなどを使って、現実の環境の中に仮想の視覚情報を加えるイメージですね。
【その2】拡張現実(AR)を使ったゲーム『ポケモン GO』
拡張現実(AR)を使ったゲームといえば『ポケモン GO』がよく知られます。これは、アメリカのナイアンティックという会社と、株式会社ポケモンによって共同開発されたスマートフォン向け位置情報ゲームアプリです。
『ポケモン GO』の世界は、現実世界と同じ地図情報を使ったゲームで、地図上にいるポケモンを捕獲することができます。レアなポケモンが、ある特定の場所に出現して、それを捕獲しようと人が殺到するなど、はまる人続出で社会問題にもなったほどの人気ゲームです。
仮想空間(VR)によるメタバースの世界も魅力的ですが、拡張現実(AR)によるメタバース世界はより、実際の世の中とマッチングしやすく、実用性のあるサービスが実現しそうな気がします。
たとえば、家具を購入する際に仮想の家具を自分の部屋に置いてみたり、メイクや髪型、洋服を自分の体にあてはめてみたり、眼鏡に内蔵することで街のいろいろな情報を見ながら散歩できたり、拡張現実(AR)は考えるほどに夢がふくらみます。
【その3】映画の世界に見る「メタバース」から、未来を想像する
拡張現実(AR)をコンタクトレンズで再現したり、軽量化された仮想空間(VR)を楽しむVRゴーグルを開発したり、様々な実用化への研究が進められています。未来の姿はどうなるのか、映画の世界にヒントをもらいます。
映画『竜とそばかすの姫』では、まさに現在の人々が夢に思い描くよう仮想空間の世界が描かれます。耳にデバイスを装着するだけで、視覚が制御され、仮想空間を体感できるようになります。主人公である田舎の地味な少女は、仮想空間では個性的な美人のディーバ(歌姫)となっていました。
映画『マトリックス』では、後頭部にプラグを刺すことで、仮想世界の住人となります。脳に直接、イメージや感覚を送る、まさに最終形態ともいえる世界観です。やがて主人公は、制限のない仮想世界を自由自在に動き回ったり、知識や技術を一瞬で体得したり、万能感を得た神のような存在になっていきます。
将来的には、はたしてどんな方法で、どんなメタバース世界を体感できるようになるのか、ほんと楽しみです。
《さいごに》
物語の中では、最初、現実世界で実現できないことを可能にする理想空間として「メタバース」の世界は描かれます。しかし、だんだんとメッキがはがれて最終的には、現実の世界と変わらない、あるいは、現実よりもさらにひどい、ディストピア(暗黒世界)というオチに結びつくことも多いです。現実とメタバースの世界、相互に足りないものを補完し合う、そんな良い関係性を築けたらいいんだけどね。