今回は、「メタバース」の中編です。メタバースというと必ず名前のあがるゲーム『Fortnite(フォートナイト)』を通して、メタバースとは何かを考えていきます。このゲームを制作する、エピックゲームズ(Epic Games)についてもふれます。今回は、息子に頼んで、「Fortnite(フォートナイト)」をプレーさせてもらいましたよ。
【その1】とりあえず『Fortnite(フォートナイト)』をプレーしてみた
「メタバース」について語るうえではずせないゲーム、それが『Fortnite(フォートナイト)』です。
このゲームは、プレーは無料で、個性的なスキン(キャラクター)やアイテムを用意し、そちらを課金制にすることで収益を得ています。
ゲームの設定は、島という閉鎖された仮想空間の中で展開する、最高100人のバトルロワイアルシューティングゲームです。実際にプレーしてみましたが、操作性もよくて、武器もいろいろな種類があって、なかなかよくできたゲームで楽しいですね。
ストーム(嵐)によって、だんだんと活動できるエリアがせばまっていって、最後に勝ち残ったプレイヤー同士が中央付近で戦い合って、勝敗を決します。上手い人に出くわすと、割と序盤で、瞬殺されちゃいますね。
ただゲームをしてみて感じたのは、このゲーム自体は必ずしも、前回紹介した「メタバース」の定義に、ドンピシャであてはまるわけではない気がしました。空間にも、参加人数にも制限があるし、ゲームの内容も従来からあるオンライン対戦ゲームの一種だと感じました。
それではなぜ、「メタバース」を語るとき、『Fortnite(フォートナイト)』がよく取りあげられるのでしょう?
【その2】エピックゲームズ(Epic Games)の企業としての姿勢がすごい!
『Fortnite(フォートナイト)』を作る会社エピックゲームズ(Epic Games)のティム・スウィーニーCEO(最高経営責任者)が構想するメタバースは、「ユーザーが自己表現したり、相互に自由に交流したりできる、デジタル化された広大な共同スペース」だといいます。
エピックゲームズ(Epic Games)がすごいのは、『Fortnite(フォートナイト)』を作るベースとなっているゲームエンジン「Unreal Engine(アンリアルエンジン)」を、クリエイターに無償提供していることです。
これを使うことで、世界中のクリエイターが自由にゲーム制作に活用したり、3D制作ツールとして利用したりしているようです。メタバース空間を構築するツールを提供することで、「メタバース」の普及促進に貢献しているわけです。
それと、現在、『Fortnite(フォートナイト)』は、iPadでは基本的にプレーできません。販売手数料のトラブルで、App StoreやGoogle Playから削除されてしまったのです。
それに対してエピックゲームズ(Epic Games)は、AppleおよびGoogleが独占的地位を濫用していると、法廷闘争をしています。このような権力にこびない姿勢も、Web3的な思想に合致し、応援したくなりますね。
【その3】『Fortnite(フォートナイト)』をはなぜ「メタバース」なのか?
『Fortnite(フォートナイト)』では、広告やプロモーションの発想も、ひと味違います。従来のバナー広告のような、見るだけのものではなく、メタバース的な観点で、商品そのものを体感することが可能になると考えています。
たとえば、『Fortnite(フォートナイト)』では、フェラーリとのコラボ期間中、ゲーム内でフェラーリの新型 296 GTB ハイブリットスポーツカーを運転することが可能でした。
また、高級ブランド「バレンシアガ」とのコラボで、そのブランドの洋服を着たスキン(キャラクター)を登場させて、実際にリアルな洋服の販売もしています。
さらに、アリアナ・グランデ、星野源、米津玄師などのミュージシャンのバーチャルイベントを開催するなど、仮想空間を使った新たな試みも行われています。
《さいごに》
結論からすると、『Fortnite(フォートナイト)』は、ゲームが目指す方向性や、企業の方針など、ゲームを取り巻くすべてをひっくるめて、「メタバース」であると言えるのだと思います。中央集権的なネットの世界を壊して、オープンで平等なものにしようという姿勢も、すごく共感できますね。次回は、「メタバース」の後編です!